インターネット上で夫の犯罪事実を公表した責任
最終更新日 2022年12月13日
インターネット上で夫の犯罪事実を公表した場合、責任を問われますか?
そのようなご相談が寄せられることがあります。
インターネット上で他人の犯罪事実を公表した場合、いかなる責任が発生するのでしょうか。
犯罪事実とは、その人が知られたくない事実の一つです。そのため、犯罪事実は、プライバシー情報として位置づけられています。
犯罪事実を多くの人が見ることのできるネット上に情報を流されれば、その人のプライバシーが侵害されることになります。
また、その人が犯罪者だと他人に知られることになれば、社会的評価を低下させることになりますので、名誉を棄損したことにもなります。
したがって、ネット上に犯罪事実を公表した場合、被害者からプライバシー侵害や名誉棄損による慰謝料を請求される可能性があります。
慰謝料の金額は、記載された内容、多くの人が見るような方法で記載されたか、被害者が受けた不利益の程度等を考慮して、個別のケースごとに決まることになりますが、50万円から100万円程度のものが多いのではないかと思われます。
例えば、公表された犯罪が殺人といった重いものであれば、被害者の社会的評価が大幅に下がりますので、慰謝料の金額は高額になるでしょう。
また、多くの人が見る人気ブロガーが記載したブログに犯罪事実が記載されれば、多くの人が見るでしょうから、慰謝料の金額が高額になる傾向にあるでしょう。
裁判例の中には、被告が名誉棄損という犯罪をしたことをインターネット上の電子掲示板に記載したことに対して、原告に50万円の支払を求めたものがあります。
この裁判例からも、慰謝料の金額は割と控えめな金額であることを分かっていただけるのではないかと思われます。
もっとも、名誉棄損は、犯罪ですので、民事責任とは別に、刑事責任を問われるおそれがあり、3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金(刑法230条1項)に科せられるおそれがあります。
安易に他人のプライバシーに関する情報を公開すると取り返しのつかないことになるおそれがありますので、気をつけるようにしましょう。