年収が2000万円を超える男性が財産分与で気を付ける点
最終更新日 2022年12月13日
年収が2000万円を超える男性が財産分与で気を付ける点はありますか?
そのようなご相談が寄せられることがあります。
年収と財産分与との間には、理論上、直接の関係はありません。
しかし、実際には、年収が2000万円を超えるような高年収の男性の財産分与については、以下のような問題があります。
分与対象財産をめぐる問題
年収が2000万円を超えるような高年収の男性は、余剰資金を資産として保有することになり、分与対象財産が相当程度期待できることから、妻側から「もっと分与対象財産があるのでは。」との厳しい追及を受けるリスクが高くなります。
また、高年収の男性は、知的階層にある方が多く、資産管理に自信があるため、資産の管理を妻に任せず、ご自身名義で資産保有、管理していることが多いようです。
ただ、財産分与においては、夫婦で築いたといえるものであれば、名義は関係なく、分与の対象財産となります。
男性の中には、「お金は使ってしまってもうない。」などという方もいますが、この言い分はなかなか通りにくくなっております。
なぜなら、分与対象財産の有無や額は、別居時点で判断しますが、別居直前に短期間に資産を費消している場合は、なぜそれほど短期間に資産を使ってしまったのか、その使途について妻側から追及を受けることになり、合理的な説明ができないと、資産を別の形で保有しているとみられることになりかねません。
また、別居後に財産を費消した場合でも、別居当時の財産をもとに財産分与をさせられることになります。
こうしたことから、そもそも自身が高年収であることが問題であると考え、会社経営者等の中には、会社から受け取る報酬を操作して一時的に少なくする方がいますが、別の形で収入を得ているとみられることがありますので、注意が必要です。
財産評価の問題
高年収の男性の資産は多岐にわたることが多く、上場株式等については、それほど財産評価に悩むことはありませんが、不動産や非上場株式等については、財産評価についても争いになる場合があります。
分与割合の問題
高年収の男性の中には、妻が働きに出ても自分ほど稼げるわけがないと考え、7:3や8:2といった分与割合を主張する方がいます。
ただ、財産分与の実務においては、分与割合について、いわゆる2分の1ルールというものがあり、婚姻中に夫婦で築いた財産は、名義を問わず、2分の1ずつ分けるのが原則とされていますので、注意が必要です。
もっとも、男性側が婚姻前に相当程度の財産を築いており、それが別居時の財産の中に形を変えて混入している場合は、6:4や7:3といった分与割合を主張することもありえます。
税金の問題
不動産や株式等の資産を譲渡する方法で財産分与を行う場合、譲渡所得税がかかることがありますので、注意が必要です。
なお、財産分与を受ける妻の贈与税は、原則としてかかりません。
回収を受けるリスクの問題
また、そもそも、財産を費消する前に仮差押えを受けるおそれもありますので、注意が必要です。
まとめ
このように、年収が2000万円を超えるような高年収の男性は、財産分与をめぐり様々な法的リスクにさらされるおそれがありますので、早めに弁護士に相談されることをお勧めします。