DVとは
最終更新日 2022年12月13日
DVとは、配偶者からの暴力をいいます。
DVを受けた方は、身体に怪我を負うだけでなく、フラッシュバックによりパニックを起こすなど、心の傷は深いものとなりがちです。
DVは、加害者によって、「口で言ってもわからないから。」などと正当化されやすいといえます。
しかし、DVは重大な違法行為です。
平成13年にできた「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(DV保護法)によれば、
- 配偶者(※)からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの)
又は
- これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動
をいいます。
離婚原因としてのDVは、これよりも広いもので、要は、婚姻を継続し難い重大な事由といえる暴力すべてを含みます。
※ここでいう「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含みます。
DVの法的意味
- DV、暴力は、強度であればそれだけで、また、そこまででなくても他の事情とあいまって、婚姻を継続しがたい重大な事由として、離婚原因となります。
- DV、暴力は、慰謝料の請求原因ともなります。
- 配偶者等へのDVは、暴行罪や傷害罪を構成するとともに、DV保護法の規制を受け、DV保護命令に違反すると、刑事罰の対象となります。
まずは、勇気をもって、夫に気づかれないように、警察や配偶者暴力相談支援センターに相談することが大切です。
弁護士は、DVそのものを阻止するというよりも、刑事告訴、DV保護命令申立、離婚などの手続を代理するものとなります。
どのようなケースが多いか
当事務所は、これまで多数のDV相談を受けておりますが、DVの態様、程度はさまざまです。
夫婦喧嘩の延長
よくあるのが、
- 夫婦げんかがきっかけとなり、双方はたいたり、つかみ合いになったりする
というものです。
その際、
- どちらかが転んで擦り傷ができる、腕をつかんだ際にあざができる、
などの傷害が生じる場合があります。
こうした軽い暴力が続くと、そのうち、双方の親を呼ぶようになり、さらにはいずれかまたは両方が警察に通報するようになります。
従来、警察は、こうした夫婦喧嘩は、民事不介入として、とりあいませんでした。
しかし、近時、DVによる痛ましい事件が多発したのを受け、通報があれば、すぐに臨場していただけるようです。
ただ、その場でどちらかが逮捕されることは少なく、少なくともその日は、一方を実家やホテルで過ごすよう促すにとどまることが多いようです。
また、DV被害者から、110番登録を受けると、警察は、登録した電話番号から110番があれば、すぐに対応できるようにしてくれます。
こうした夫婦げんかに伴うDVは、さほど重いものは多くないようです。
ただ、反復継続されると、婚姻を継続し難い重大な事由として離婚原因となり得ます。
切れると暴れる
近時、精神的に不安定になった配偶者が、切れると暴れる、というご相談が増えています。
その場合、家中にあるものを投げたり壊したり、壁を殴るけるなどして穴を開けたりすることが多いようです。
こうしたDVは、一見かなり激しいものですが、直接手を挙げるなどではなく、物に当たり、相手を怖がらせるという間接暴行の形態を取るのが特徴です。
とはいえ、相手を十分怖がらせるものであり、DV保護命令が発動されることがありますし、離婚原因や慰謝料の請求原因ともなりうるものです。
強度のもの
ただ、ご相談の中には、まれに、
- 馬乗りになり、スーツケースに入れるぞと申し向ける
- げんこつで相手の顔や腹を殴り、肋骨を骨折させる
- 殴る蹴るを繰り返し、相手が脳出血のため意識を失う
といった強度のDVを受ける方がいます。
すでに配偶者暴力支援センターに相談したり、DVシェルターを検討するケースも多く、よく今まで我慢されたな、と思うほどです。
こうなると、DV保護命令は通りますし、配偶者を通報すれば傷害罪で速逮捕されますし、診断書や写真によりDV立証できれば、離婚原因として十分といえます。