無断で録音した会話は証拠になるか?
最終更新日 2022年12月13日
当事務所では、お客様から相手方との会話を無断で録音をしてよいかということをよく聞かれます。
録音した証拠を裁判で利用することができれば、不倫を証明する上で、有利となります。
無断に録音したデータは証拠となるのでしょうか。
民事の裁判においては、違法に取得された証拠であっても、原則として証拠として利用することができるということになっています。
しかし、例外的に、人格権を著しく反社会的な手段方法で侵害した場合には、証拠能力を否定すると述べた裁判例があります。
無断で録音した場合に証拠能力が否定されるかどうかですが、裁判例の多くは、人格権を著しく反社会的な手段方法で侵害したとまではいえないという判断をしています。
例えば、長時間身体拘束をして無理やり証言をさせたといった場合であれば、人格権を著しく反社会的な手段方法で侵害したといえるかもしれません。
しかし、一対一で会話をしているところを無断で録音した程度であれば証拠能力が否定されるケースでは少ないと考えていただいてよいです。
現に当事務所においても、録音データを証拠として提出した場合に証拠能力が問題となった事案はいまだ1件もありません。
また、インターネット上に録音のデータを配布し、その人が不倫をしたことを誰でも分かるような形にするといった場合であれば、名誉棄損等に該当し、不法行為責任が発生することはあるでしょう。
しかし、不特定多数の第三者に開示する目的としておらず、裁判の証拠で用いるために無断で録音したという程度であれば、プライバシーの侵害等による慰謝料の請求は否定される場合が多いようです。