最終更新日 2022年6月6日
ご相談
Xさん(40代・女性・パート)は、Y(30代・男性・会社員) と結婚し(再婚同士)、お子さんらをもうけましたが、 結婚当初からYのDVやモラハラ、不倫に悩まされ、 Xさんの実家に帰り別居したところ、Yが弁護士を付け、 離婚を求められたことから、ご自身での対応は限界と考え、 当事務所を訪れました。
当事務所の対応
当事務所は、Yの弁護士に対し、婚姻費用(生活費) を支払うよう求めるとともに、 離婚の場合の住宅の売却などを内容とする協議離婚を模索しました 。
しかし、婚姻費用すら話がまとまらなかったため、 婚姻費用の調停を申し立てたところ、Yの弁護士は、 交渉半ばで辞任してしまいました。
すると、Yは、離婚の調停を申し立てるとともに、 2人目の弁護士を付け、婚姻費用を争ってきました。
そこで、紛争が長期化し、支払いが遅れることを避けるため、 未払分は先送りしつつ、 当面の婚姻費用についてひとまず調停を成立させましたが、 離婚については、 養育費や住宅ローンの処理を巡り話がまとまりませんでした。
当初余剰があると思われた住宅は、調査の結果、オーバーローン( 住宅の価値よりも住宅ローン額の方が大きいこと) であることがわかりました。
こうして、住宅の売却は難しい状況となり、 解決が遠のいた段階で、2人目の弁護士も、辞任してしまいました。
そこで、Yは、3人目の弁護士を付けました。
Yの3人目の弁護士は、 XさんがYに不利な離婚条件を主張するのであれば、 近く破産を申し立てる所存である、 もし破産を申し立てられたくないのであれば、 慰謝料等を減額してほしいと主張してきました。
Xさんは、お子さんにも関係する離婚条件について、 破産を交渉材料として値切りをおこなうYの態度にご立腹でした。
ただ、本件では、Yの破産申立てについて障害はなく、 もしYが破産を申し立てた場合、 XさんのYに対する一部債権が破産免責されたり、 連帯債務者等であるXさんやXさんの親族が住宅ローンの残債務に ついて一括弁済を迫られたりするなど、 Xさんにかえって不利な状況になるおそれがありました。
そこで、当事務所は、Yの破産により免責される債務、 されない債務を見極めたうえ、 Xさんに少しでも有利になるようギリギリの交渉を行いました。
当事務所の対応の結果
その結果、
・XさんがYから養育費、解決金を取得して離婚する
・Xさんは住宅ローンを支払いつつ住宅にお子さんらと住む
・Yは破産を申し立てない
との条件で調停離婚を成立させることができました。
解決のポイント
本件では、Yの弁護士がたびたび交代しましたが、当事務所は、 その時々のYの弁護士と離婚の条件について根気強く交渉すること により、次第にXさんに有利な状況を作ることができました。
ただ、Yが3人目の弁護士を付け、 破産申立てを示唆したことから、状況が一変しました。
この点、当事務所の弁護士は、 債務整理の経験も豊富であったため、 Xさんに過度に有利な離婚条件を主張し続けると、 Yの破産申立てを誘発し、 Xさんにかえって不利な状況となることを十分見通したうえで、 破産申立てを回避しつつ、 Xさんにできる限り有利な条件で離婚を成立させることができまし た。