最終更新日 2021年8月27日
ご相談
Xさん(男性・60代・元会社員(定年退職))は、長年別居を続けてきた妻であるY(女性・60代・無職)から離婚調停を申立てられ、財産分与として多額の金銭を支払うように求められました。
Xさんとしては、できるだけ分与額を低く抑えたうえで、早期に離婚をしたいと考え、当事務所を訪れました。
当事務所の取り組み
別居期間がかなり長期に及んでいたため、別居を開始した時点でどのような財産があったのかがはっきりしませんでした。
そこで、唯一判明していた、Xさんの退職金をどのように分与するかが焦点となりました。
Y側は、Xさんが会社に勤めていた期間に占める夫婦が同居していた期間の割合(同居期間÷勤務期間)を退職金額に掛けた金額を分与額とすべきだと主張しました。
同居期間は、夫婦が協力して財産を築いていた期間であるといえるため、退職金のうち、同居期間に相当する部分が分与の対象になるという考え方です。
一見もっともらしく思えるのですが、退職金は、勤続年数が長くなり、基本給が増えるほどに、その金額も大きくなります。
そうすると、単純に同居期間の割合をかけただけでは、別居開始以降に増えた分の退職金も分与の対象にしてしまうことになり、Xさんにとっては不当な結果となってしまいます。
そこで、当事務所では、Xさんが仮に別居時点で退職していたとすれば退職金をいくら受給していたのかを計算し、それを基準に分与額を計算すべきであると主張しました。
取り組みの結果
上記の主張をしたことにより、Y側も譲歩の姿勢を示すようになり、最終的には、Yから請求されていた金額を700万円ほど減額して、合意することができました。
解決のポイント
財産分与を含む離婚条件の決め方には、様々な考え方があり、適切な条件で合意するためには専門的な知識が必要です。
ご本人で協議や調停を行い、適切な主張立証を行わなかったために、不利な条件で合意をしてしまったケースもしばしば見受けられます。
本件では、調停の初期段階で弁護士が介入し、専門的な知見に基づいて適切な主張立証を行ったことで、最終的に有利な条件で離婚をすることができました。