最終更新日 2021年9月28日
質問
結婚●年目、子供●人います。
主人が浮気をし借金をつくり、私の財布からカードを抜き取り使ってました。
主人は債務整理をして返済をしてきましたが、生活費もいれず、私からお金を欲しがるようになり私は顔をみるのも苦痛になり家を出ました。
住宅ローンが残ってる家があり、ペアローンを組んでいます。主人の債務整理をしている弁護士さんから、個人再生の話をされたようです。
主人からメールで連絡はくるのですが、知識がなく何をすればいいかわかりません。
主人と関わりを切りたいのですが、どうすればいいのですか?
そして、私が払ってきた金額などは主人から返してもらえるんでしょうか?
弁護士からの回答
夫の浮気、さらには浮気による借金等で離婚をお考えなのですね。大変お辛い状況を我慢されてきたのですね、何とか良い解決を差し上げたいと思います。
現在は、別居中ということなので、まずは、離婚を切り出してみてはいかがでしょうか。
離婚するに際し、親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割等の条件を決めることが重要です(なお、お子様が未成年者の場合、親権を決めなければ離婚をすることができません)。
相談者様の場合、住宅ローンや相談者様が夫に支払ってきたお金について、不安をお持ちのようですので、主に財産分与について説明します。
最初に住宅ローンについて説明します。
財産分与とは、夫婦が婚姻中に形成した共有財産を分与するというもので、婚姻中であれば、名義がどちらでも夫婦の共有財産となります。
不動産の財産分与の方法としては、①不動産を売却し、売却代金を分与する方法、②相談者様若しくは夫の一方が不動産を取得する方法をおすすめします。
まず、①②のいずれの方法を取るにしても、不動産の資産価値を確定しなければいけません。
不動産価値の算定方法としては、固定資産評価額を基準にする方法や不動産業者による査定を基準とする方法等があります。
次に、不動産がオーバーローンであるか検討する必要があります。上記方法から算出した不動産価格より、別居時における住宅ローン債務残高の方が多額である場合には、オーバーローンです。
不動産の資産価値が決めれば、①②の方法のいずれかを選択します。以下、順に説明していきます。
①不動産を売却し、売却代金を分与する場合
この場合、売却代金からローン債務残高や諸経費(仲介手数料や登記費用など)を差し引いた金額が、分与対象財産となります。
しかし、オーバーローンの場合、事実上、第三者に売却することができず、売却時に売却代金と合わせてローン債務残高を完済し、抵当権を外す必要があります。
そのため、ローン債務残額と売却代金との差額分の資金を新たに調達する必要があります。
②相談者様若しくは夫の一方が不動産を取得する場合
この場合、不動産の資産価値からローン債務残高を差し引いた金額が、分与対象財産となり、不動産を取得する方が、もう一方に精算金を支払います。
オーバーローンの場合、通常、不動産を取得する方が残ローンを支払っていくこととなります。
相談者様の場合、ペアローンで組んでおり、不動産が共有名義となっている可能性が高いため、それを前提に、(1)一方の単独名義にできないか、(2)ローン名義を一方に変更することができないかを説明します。
結論からいいますと、(1)の単独名義変更はできないことはありません。
しかし、相談者様が借入の際に金融機関と交わした契約書の内容が分からないため、確定的なことはいえませんが、期限の利益喪失約款がある場合、一括返済を求められることもあるため、銀行の承諾を得ることをおすすめします。
(2)のローン名義については、債権者の承諾を得ることができれば可能ですが、夫が債務整理をしているとのことですので、夫へのローン名義変更について銀行からの承諾を得ることは困難であると思われます。
他方、相談者様が不動産を取得する場合は、収入も一定程度あると思われるので、債権者の承諾を得ることが可能かもしれません。
まずは、債権者と交渉してみて下さい。
①と②の方法を説明しましたが、上記のとおり、不動産がオーバーローンの場合には、早急に対処する必要があります。そこで、まずは不動産の資産価値を確認することをおすすめします。
最後に、相談者様が夫に支払ってきたお金等について、説明します。
相談者様としては、夫が勝手に使用したカードを、夫婦共有財産に持ち戻して、財産分与を行いたいということですね。
しかし、財産分与の対象とすべき範囲の確定時期は、実務上、別居時と考えられています。
したがって、当時、夫が相談者様に無断で使用したカードも、そのカードの引き落とし口座の預金が婚姻中に形成されたものである場合には、それは夫婦共有財産からの支出といえ、別居時の財産に持ち戻すことは困難と思われます。
もっとも、話し合いはあくまでも、当事者間での合意であるので、相談者様が夫に支払ってきたお金を支払うように主張することは十分に可能です。
また、夫は浮気をしているということなので、離婚に伴う慰謝料というかたちで、金銭の請求をされてはいかがでしょうか。
質問に対する回答は以上となります。
本件は、住宅ローン等が絡むため処理が複雑であり、ご相談者様にとって、大変ご負担となります。
ご自身の手に負えない場合は、早めに弁護士へ依頼されたほうがよいかと存じます。
具体的な事情をおうかがいした上で判断が必要な部分もございますので、ご都合がよろしければ、ぜひお気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。